MIDORI HARIMA









"森を見て木を見ず Can't see the trees for the forest" 
2022 年

Wood, Prints


版画においては、版が唯一のオリジナルであり、複製の母体となるものであるが、それは表に出ることはなく、不可視化されている。印刷物における主役は、複製されたものの方であり、そこでも版は、複製物を生じさせる役割を終えたら、破棄されるものとして、プロセスの中で透明なものとして扱われる。版を通して増えていくのは、紙とインクであり、私たちが見ている概念も、物質としては紙とインクであるが、複製されると、実存が記号概念になることに複製の秘密があるように思う。言葉という概念世界に生きる私たちは、目の前に世界があっても尚、概念の枠組みの中でものを見て思考する。「木」という概念を版木の存在に重ね、それを増やしていくという視覚効果を伴った概念操作により、林や森という漢字とともに概念が生じる。私たちは木(版)という実存を透過して、森(紙とインク)という概念を見ており、且つそれしか見ていないという構図自体を、版画と版木の関係に重ね、提示してみたい。