MIDORI HARIMA
"This Is a Mirrorr"
2022年
2チャンネルデジタルビデオインスタレーション
プロジェクター、スクリーン、スピーカー
6分24秒
Two-channel video installation
projectors, screens, speakers
Photo by: Nick McDonell
00:06:24
本作は、「現代における版画の再定義」という自身の近年の課題の元に制作された紙が不在の版画作品である。紙はまた、身体のメタファーでもあり、AI化や環境問題が顕在化する現代において、紙の存在を身体に重ね、それがいずれ無くなることを想定した思考実験に基づいて構想された。本作で導入されているのは、私自身の身体であり、制作に加え、それ以外の労働などによっても構成されているその身体知に基づいて繰り返される「アクション」によって、版画を刷る行為のみが抽出され、記録されている。イメージを紙に定着させないことは、私自身の「経験」や「身体」「プロセス」の対象化への抵抗でもある。
刷られているイメージは、スタジオとして間借りしている、大工さんの作業場に隣接する森に、横にスライドする窓のような構造物を作り、そこから見える森の風景をシルクスクリーンに写真製版したもので、それらを構造物にはめ込み、版に絵の具をのせ、シルクスクリーンを刷る行為を、版の裏側からデジタルカメラで、後ろ側からは遠巻きに8ミリフィルムカメラで同時に撮影している。二つのビデオは、シルクスクリーンをスキージが擦る音を初め、蝉の声や風の音、工房の作業音、上空を通る自衛隊の飛行機の音や近くを通る車の音などのスタジオの環境音によって同期されて、2チャンネルのビデオインスタレーションになっている。
EXHIBITIONS
”PAPAER: かみと現代美術”, Contemporary Art Museum, Kumamoto Oct 1- Dec 18 2022
REVIEW
“素材として、基底材としてー「PAPER: かみと現代美術」”鷲田めるろ, 展覧会評, すばる2022年12月号